機龍警察 暗黒市場 :: 月村 了衛

2019年10月4日

機龍警察

本書『機龍警察 暗黒市場』は、『機龍警察シリーズ』第三弾の長編のアクション警察小説です。

前巻の『機龍警察 自爆条項』でのライザ・ラードナーの過去に続き、本書ではユーリ・オズノフの過去が語られます。

千葉県警から警視庁特捜部SIPDに応援要請があった。第一種機甲兵装「ケルピー」に乗り込んだ不法入国のタイ人グループによる物流倉庫への立て籠もり事件である。

鈴石緑技術主任は「こんなときに限って」とつぶやいてしまう。ユーリ・オズノフ元警部が契約解除になっていたのだ。

そうした折、武器密売の国際的ブラックマーケットを内偵中であった警視庁組織犯罪対策部の安藤巡査部長の死と引き換えに、日本で新型機甲兵装のマーケットが開かれるらしいとの情報がもたらされた。

龍機兵の操縦者の一人であるユーリ・オズノフは、警察という職務に忠実であろうとする男達からなるモスクワ第九十一民警分署刑事捜査分隊操作第一班に属していました。

彼らは清廉さを謳われて「最も痩せた犬達」と呼ばれていたのです。

しかし、そこで起きた悲劇はユーリをロシアから追い出し、アジアへと流れ、警視庁特捜部に拾われることになります。

本書『機龍警察 暗黒市場』の後半では話は日本に戻り、ブラックマーケットとの戦いに挑むことになります。

この後半に至ってのアクションの描写は本シリーズの魅力の一つであり、迫力満載で描かれています。

月村了衛の緻密な筆致は本シリーズの重厚な雰囲気の醸成に役立っており、読者の関心を引き付けて離さないし、面白さ満載のシリーズであり、作品になっていると言えるのです。